「テストエンジニア」の実際の業務内容を具体例で解説します!

テストエンジニアの実務内容解説記事のアイキャッチ 未経験からのIT挑戦!

以前の記事で「テストエンジニア」の全体像について、ざっくりとお伝えしましたが「実際はどういう業務をするの?」という疑問があるかと思います。

そこで今回は、架空のテスト会社が架空のテストを実施する様子をながら、実際の作業内容についてイメージを深めていただければなと思います。

茶番要素が多めですが、内容はしっかり書きましたのできっと役に立つはずです!!

💡 この記事は「【初心者向け】「テストエンジニア」ってどんなお仕事?初心者向けに解説!」の内容を前提に書かれています。テストの工程についてはこちらの記事を読んでみてください!

登場人物

今回は茶番形式でお伝えしていきますので、登場人物を紹介します。

素敵な登場人物
  • 優しいボブ : 心優しく、動くスピードがゆっくりなボブ。テストの経験は豊富。
  • さっぱりアニー:さっぱりした性格で、よくあくびをしているアニー。ボブの同期。
  • あわてんぼうのタカシ:クリスマス前にやってくるタカシ。テストは最近はじめたばかり。
  • オタクのミユキ:スマホでゲームばかりしているミユキは今期のアニメも全部見る。タカシの先輩。

テストエンジニアの実際の作業内容

さて、各工程別に「どういった作業が行われるのか?」を具体例を挙げながら説明したいと思います。

今回は例として下記のような条件で考えてみます。

今回考える条件
  • 「Google」のトップページで、8月1日の1日間だけロゴが変更される機能が実装されたと仮定して、そのテストを実施する
  • 「テスト計画」と「テスト設計」はボブが1名で実施する
  • 「テスト実行」はタカシミユキの2名で実施する
  • 「テスト実行管理」と「テスト評価」はアニーが1名で実施する
  • 全体のテスト期間は1週間(5営業日)とする

テスト計画

今回は「Googleのトップページで、8月1日の1日間だけロゴが変更される機能が実装されたと仮定」します。

前述の条件から、テスト計画からテスト評価までを「5営業日」で実施する必要があるようです。

テスト計画を担当する優しいことに定評のあるボブは下記のようなテスト計画を立てました。

スケジュールについて

  • 月曜日(今日)にボブが「テスト計画」を実施する
  • 火曜日にボブが「テスト設計」を実施する
  • 水曜日、木曜日にタカシとミユキが「テスト実行」をする、「実行管理」はアニーが実施する
  • 金曜日にアニーが「テスト評価」をして作業を完了する

テストの内容について

  • テストの対象はトップページのみとする ※トップページしか確認しない
  • トップページから別の画面に移動できるかは一部のみ確認する
  • 7/31から8/1の切り替わりと、8/1から8/2の切り替わりを確認する
  • テスト環境のみで確認する
  • WindowsのパソコンとiOSのスマートフォンのみで確認する

ここでいう「テスト環境」とは、実際のユーザーには見えない開発専用の環境のことを指します。一方でユーザーが実際にアクセスする環境のことを「本番環境」と呼びます。
難しいのでなんとなくの理解で大丈夫です!

このように、「テスト計画」ではどんなテストをするのか?やどうやってテストをするのか?を検討し、計画を立案します。

テスト設計

ということで、火曜日になりました。今日も頑張りましょう!

とっても簡単なテスト計画に丸一日かかってしまったボブは早速テスト設計にとりかかります。

このチームではテスト項目書をGoogleスプレッドシートで作ることになっているので、下記のような表形式のテスト項目書を作成しました。

項目番号確認すること
17/31にトップページを開いた場合、通常のロゴが表示されている
27/31にトップページを開いて、そのまま8/1になった場合、画面を更新すると、通常のロゴから特別なロゴに切り替わる
38/1にトップページを開いた場合、特別なロゴが表示されている
48/1にトップページを開いた場合、8/1の間に画面を更新しても、特別なロゴのままである
58/1にトップページを開いて、そのまま8/2になった場合、画面を更新すると、特別なロゴから通常のロゴに切り替わる
68/2にトップページを開いた場合、通常のロゴが表示されている
7通常のロゴをクリックした場合、トップページが再表示される
8特別なロゴをクリックした場合、特別なキーワードで検索した検索結果の画面が表示される
9特別なロゴが表示されていても、通常の検索を実行できる
10特別なロゴが表示されていても、「I’m feeling lucky」の検索を実行できる

あくまで例ですので、実際のGoogleの仕様とは関係ありません…!
また、実務で使われるテスト項目書はもっと情報が多いのですが、できるだけ情報を少なく、分かりやすくしています。

「テスト設計」はテスト計画を基に「テスト項目書」というドキュメントを作る工程ですので、これで完了です!ボブお疲れ様でした!

テスト実行管理 : テスト実行の準備

さて、水曜日になりました!今日からテスト実行が始まります。

ボブは「それじゃ、よろしくね」と愛想よくテスト項目書をアニーに渡しました。

受け取ったアニーは、「あいよ」とあくびをしながらテストを開始する準備をします。

アニーがしたテストの準備
  • 今回の条件である「Windowsのパソコン」と「iOSのスマートフォン」を用意
  • テストの進捗状況を把握する為の表作成
  • 1名1日あたりにどのくらいテストが進めばいいかの計算
  • テスト環境の日付変更をする方法について開発担当者に確認

今回ボブが作ったテスト項目は10項目で、これをパソコンとスマートフォンそれぞれでテストするので10項目×2端末で合計20項目分のテスト項目があります。

20項目分のテストをタカシミユキの2名で実施するので、1名あたり10項目を実施する必要があります。

ボブが作ったテスト計画にはテスト実行に2日間使ってよいと書いてありますので、タカシとミユキはそれぞれ1日に5項目を実施する必要があることが分かりました。

アニーはなんだかやる気が無いように見えますが計算はできるのです!

テスト実行とテスト実行管理

初日

アニーが準備してくれたので、タカシミユキはテスト実行を始めます。

さっそく、最初のテスト項目「7/31にトップページを開いて、そのまま8/1になった場合、画面を更新すると、通常のロゴから特別なロゴに切り替わる」を確認しはじめますが、今のテスト環境の日時設定は「6/10の10:00」でした…。

これでは何日かかっても終わりませんのであわてんぼうのタカシは冷や汗をかきながらそれをアニーに相談します。

アニーは「そりゃ困ったね」と笑いながら、開発担当者にテスト環境の日時設定を「7/31の23:58」に変更してもらえるよう頼みました。これならトップページにアクセスしてからおおよそ2分で最初のテスト項目を確認できますね!もともとの設定である6/10からだと74,280分間かかる計算なので本当によかったです。

それからタカシミユキはトップページにアクセスして、現段階では通常のロゴが表示されていることを確認しました。

そしてそのまましばらく待ち、「8/1の0:00」になったことを確認してから、画面を更新してみます。

すると、タカシがテストしていたWindowsのパソコンでは「特別なロゴ」に変化したものの、ミユキがテストしていたiOSのスマートフォンでは「通常のロゴ」のままでした。

これはボブが作ったテスト項目とは違う結果になってしまっているので、ミユキは今夜のアニメのことばかり考えていましたがそれを振り払って「事象報告」を作成します。

ソフトウェアが期待される動作をしない場合等に、開発者に報告することを「不具合報告」や「事象報告」と呼びます。

二日目

そんなこんなでテストは順調に進んでいましたが、テスト実行の最終日にあわてんぼうのタカシはあわてんぼうなので転んで怪我をしてしまいました…!

アニーは「そりゃ困ったね」と笑いながらタカシを早退させ、タカシがやりきれなかったテストを実行していきます。

こうしてアニーミユキ(とタカシ)は無事にすべてのテストをやりきりました!お疲れ様でした!


アニーが担当していた「テスト実行管理」はそのテストに関わる人員の管理や、テスト業務の進捗状況などを管理する業務ですのでこれにて完了です。

タカシミユキが担当していた「テスト実行」はテスト設計で作成されたテスト項目書を使って実際にテストを実行する業務なのでこちらも完了!タカシの怪我は大丈夫なのでしょうか!

テスト評価

今日は金曜日。さくっと帰ってお酒を飲みたいアニーはあくびをこらえながらテスト評価を進めます。

今回の結果を表にまとめて、グラフを作って、分析したところ下記のようなことが分かりました。

今回のテストで分かったこと
  • パソコンでは不具合が1件もなかったが、スマートフォンでは不具合が5件あり、不具合の発生が偏っている
  • スマートフォンの確認ではブラウザ(SafariやChromeなど)ごとに動作の差異はなかった

これらのことから、アニー「同じようなテストの場合、次回からはiOSだけでなくAndroidのスマートフォンでも確認したほうがよい」と提案することにしました。

実はWebサイトの場合、今回の例のような「パソコンとスマホで動作が違う」ということはあまり起きません。架空の世界の話ということでひとつ…。

アニーはなんだかやる気が無いように見えますが改善提案だってできるのです!

「テスト評価」は実行しているテストを完了して作業を終了しても問題ないかの判断や、テストの結果を基にテストそのものの品質を評価する工程だったのでこれで完了。


ということで、ボブが初日に作成した「テスト計画」の内容が全て終わりました!

そして、8/1にはGoogleのロゴも無事に特別なバージョンが表示されたので、アニーはうまい酒が飲めたのでした。

みんなお疲れ様でした!

まとめ

というわけで長すぎて全部読んでくれた方がいるかはわかりませんが、読んでくれた方はありがとうございます。

今回は実際のテスト業務について具体例でお伝えしようという試みでしたが、いかがでしたでしょうか?

未経験で転職前の段階では、ざっくり「いろんな人が関わってテストしてるんだな!」と思ってもらえればなと思います!

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